濾過助剤
濾過は食品加工業界、製薬業界、化学業界などあらゆる製造業の製造工程にて行われており、当社が提供する濾過助剤は、1µm程度以上の固体を分離・除去する濾過工程において使用頂いております。
当社が日本国内で提供する濾過助剤は、大きく分けて、自社グループにて製造する化石鉱物由来の珪藻土(ケイソウ土)濾過助剤および火山岩由来のパーライト濾過助剤と、取扱商品として木質由来のセルロース濾過助剤の3種であり、更に嵩、粒度などにより製品グレードがあり、お客様が求められる濾過条件に応じて提案、提供しております。
自社が製造する濾過助剤は珪藻土濾過助剤を「ラヂオライト」、パーライト濾過助剤は「トプコ」というブランド名で提供しております。
なお、珪藻土及びパーライトに関し、素材特性や製品加工に至るまでの工程、商業利用の歴史など別サイトに纏めております。
なお、当社は当サイトで紹介する濾過助剤だけでなく、濾過分野に関する各種商材を取り揃えております。
吸着用途、脱色用途の活性炭、混濁物質を沈殿させる澱下げ剤、各種濾過機など、濾過に関する各種事項にお困りでしたら、是非ご相談ください。活性炭はソリューションに詳細紹介をしております。
■濾過助剤を使用することによるお客様のメリット
濾過助剤の使用方法
濾過助剤の使用に際し、予め濾材表面に濾過助剤の層を形成する「プリコート」、原液に濾過助剤を添加する「ボディーフィード」の2つの操作を行うことで、濾材の目詰まり防止と濾過抵抗の低減を実現し、濾過量を出すことができます。
ろ材に濾過助剤を張り付けて濾過助剤の層を形成させる方法を「プリコート」と呼びます。
ろ材の空隙よりも細かい濾過助剤の空隙を構成することで、濾材からの懸濁物質の漏れを防止、濾材の目詰まり防止、濾過の初期から清澄な濾液を得ることができます。
原液に濾過助剤を直接添加して濾過する方法を「ボディーフィード」と呼びます。濾過進行により、懸濁物質とともにボディーフィードの濾過助剤もプリコート層にて捕捉され、ケーク層を形成します。
そのケークにて珪藻土濾過助剤の空隙が流体の経路を確保し、更に濾過が進行するため、速い濾過速度を維持したまま、長時間の濾過操作を行う事ができます。
お客様の濾過条件(懸濁物質の粒径、温度、圧力など)により、選定する濾過助剤のグレードが異なります。
当社は糖類などの粘度の高い液から、プールなどの透視度の高い液までの広範囲の原液に対応できる濾過助剤をラインナップしております。
気体処理での使用方法
濾過助剤は固液分離での使用が中心ですが、ゴミ焼却処理場などにおいては、固気分離用途として特殊反応助剤「クリアエイド」が使用されています。
ゴミ焼却処理場では、大気放出を行う浄化ガスにダイオキシンなどの有害物質が含まれていない事が条件であり、反応物質に反応助剤を混合させた粉体層を設置し、排ガスが粉体層を通過中に化学反応によりクリーン化させます。その工程において、反応助剤(濾過助剤)の高い空隙が気体の通過経路を確保し、高い吸液性を活かして排ガス中の水分を吸液することで、継続的な反応を行う事を補助しています。
濾過助剤の選定
濾過条件及びお客様が求められる濾過後の濾液の清澄度などにより、使用する濾過助剤グレードや濾過助剤の添加使用量が異なります。適切な濾過助剤を組み合わせることにより、多岐にわたる分野における濾過対象物の濾過条件に対応することができます。
当社は営業担当者及び研究員による濾過助剤選定サービスを行っております。詳しくは濾過助剤選定サービスのページを参照ください。
■濾過助剤グレード
珪藻土濾過助剤は原土をロータリーキルンにて800度~1,200度の温度帯で焼成処理を行い、また、パーライト濾過助剤はエキスパンダーにて800度~1,000度の温度帯で発泡処理を行い、それぞれ分級工程を経る事で製品のグレード分けをしております。また、ターゲットとする透過率・ケーク嵩密度、耐薬性向上などを実現するため、製造工程が異なり、珪藻土濾過助剤は焼成品、融剤焼成品、酸洗い品に区分する事ができます。
※透過率とは
粒子の充填層を流体が透過する時の透過率を表すのにDarcyの式を用います。一定条件下で各品種の透過速度を測定し、Darcyの式で透過率を求めます。1darcyは厚さ1cmの充填層を1気圧の差で、粘度1cpの流体が面積1cm2について毎秒1cm3の流量のときの値となります。
※ケーク嵩密度とは
粉体を水で分散させたのちに、容器内に詰め、容器内の隙間も堆積と見なして測定した密度です。
(単位:g/㎤=kg/L=t/m3)
■製品グレードの一例
製品名 | 製品区分 | 透過率 darcy | ケーク嵩密度 | 50%平均粒子径 (レーザー法)μm |
ラヂオライト#100 | 珪藻土焼成品 | 0.05 | 0.44 | 12.8 |
ラヂオライト#300 | 珪藻土焼成品 | 0.16 | 0.42 | 14.1 |
ラヂオライト#500 | 珪藻土焼成品 | 1.4 | 0.35 | 36.4 |
ラヂオライト#700 | 珪藻土融剤焼成品 | 1.68 | 0.35 | 30.3 |
ラヂオライト#800 | 珪藻土焼成品 | 1.84 | 0.35 | 36.3 |
ラヂオライト#3000 | 珪藻土融剤焼成品 | 22.21 | 0.33(タッピング) | 114.2 |
トプコ№31 | パーライト発泡品 | 0.97 | 0.24 | 25.4 |
トプコ№38 | パーライト発泡品 | 1.66 | 0.20 | 31.9 |
■濾過助剤を使用する濾過機
濾過助剤の使用を前提とする濾過機を多くの濾過機メーカーが製造し、処理する原液の量、濾過条件などにより選定ポイントが異なります。当社では、お客様の濾過条件、ご要望に応じたろ過システムをご紹介させて頂きます。担当者もしくはHPよりお問い合わせ下さい。
濾過機 | 用途 | 適した濾過助剤 |
キャンドルフィルター | ビール、醤油など | ラヂオライトFNF-A ラヂオライト#2000 |
リーフフィルター | 酵素、砂糖、果汁など | ラヂオライト#700 トプコ№34 |
フィルタープレス (最も汎用的な濾過機) |
海藻、塗料(高粘度系)など | ラヂオライト#900 トプコ№52SP |
プリコートフィルター (通称ドラムフィルター) |
ブドウ糖、異性化糖、油、製薬、工場排水など | ラヂオライト#800 トプコ№38 |
バグフィルター | 焼却場など | クリアエイド |
キャンドルフィルター
濾材がろうそくのように長い円筒状になっていることが名前の由来です。キャンドルの外側は、ワッシャーを積み重ねたものや金網の場合もありますが、細いワイヤーを巻き付けたタイプが主流です。
濾過は、原液を濾過機の底部から入れ、上部から濾液を取り出します。底部はコーン状で、廃ケークの排出を容易に行う事ができます。サニタリー性に優れています。
フィルタープレス
四角形の濾板に厚手の濾布または濾紙をセットして行う濾過機です。清澄濾過分野での利用が多く、高圧に耐える事ができる構造で、圧搾が必要な条件の場合は、フィルタープレス方式の濾過機が使用されます。
リーフフィルター
耐圧容器の中に、リーフ形(葉状)の濾材が垂直または水平に設置された濾過機です。リーフフィルターの形状は長方形と円形があり、フィルターの両面で濾過を行うタイプが一般的で、濾布形式より金網の場合が多いです。
プリコートフィルター
助剤の特性が顕著に発揮される濾過機で、ドラムフィルターとも呼ばれます。真空のドラムを回転させながら濾過助剤をプリコートした後に濾過を行い、表面のss層と助剤層の一部を切削することによって、再び未反応の助剤層で濾過を行うことができます。一度プリコートを行うと、助剤ケーク層が薄くなるまで連続して濾過を行う事ができます。
バグフィルター
多数設置したフィルターに粒子を含む気体を通過させて濾過する方式の濾過機です。微粒子の集塵率が高い反面、堆積した粒子により圧力損失が大きくなるデメリットがあります。濾過助剤を用いることで、圧力損失の増加を抑えることができます。
■「RADIOLITE\ラヂオライト」「HardLite\ハードライト」「TOPCO\トプコ」「日本パーライト」は
昭和化学工業株式会社の登録商標です。